1/20,コロラド州 アスペン コテージ no.4
- 2018/03/19
- 16:56
Your name
風呂から上がってリビングに戻ると、来夢と友基がまったりと暖かいお茶を飲んでいた。
「…… は?」
俺が尋ねると、お茶をすすりながら友基が答える。
「部屋でいろいろ整理してるみたいよ」
なるほど。手ぶらだったから、空港でいろいろ買ったもんな。女だし、身だしなみに必要なものの整理は大変だろう。
「歩夢もお茶いる?」
「ん、さんきゅ」
友基がティーポットを傾けてカップにお茶を注ぎ、俺に手渡してくれた。気の利くやつである。男のくせに女子力が高く、女子のボーダーともよく仲良くしている。
俺はカップを受け取ると、ソファに腰を下ろした。
「…なー、歩夢」
「んー」
来夢が、恐る恐る口を開いた。何について話し出すかはわかっていたけど、俺はとぼけて見せる。……さっき、 と来夢が顔を合わせた時。
小声で「かわいい」と言っていたのを俺は聞き逃さなかった。 には聞こえていなかったようだが。
普段なら来夢が女の子にそんなことを言ったところて、欠片も気にならなかった。
だけどなんで今日は、なんだかイライラするのだろう。
「 ちゃんってさあ」
「うん」
「はっきり言ってさあ」
「うん」
「すげーかわいいよな」
「…ふーん」
興味無さそうに俺は言う。だからなんだというのだ。
「まーね、かなり可愛い方だよね。一般人の中では」
友基が人事のように言う。同意に嬉しかったのか、来夢のテンションが上がる
「そうだろ! それなのに全く歩夢は! 贅沢な!」
「…別にさー、もっとかわいい子なんていっぱいいるじゃん。芸能人とか」
呆れたように俺は言う。
世界大会に出るレベルの俺たちは、テレビ出演やイベントなどでアイドルやモデルと関わる機会はごまんとある。
その中にはもちろん、日常生活の中ではお目にかかれないレベルの絶世の美女だってもちろんいる。
がかわいらしいのまあ認めるが、アイドルにいてもまあ、おかしくないレベル。
掛け値なしの美女、というわけではない。
……しかし。
「そうかもしれないけど、そういう問題じゃない!」
立ち上がり、何やら熱くなり出す来夢。……あ、これめんどくさいやつだ。
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