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1/20,コロラド州 アスペン コテージ no.3

 

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「…そんなんじゃないっての。この子はただの通訳。期間限定の」

「通訳ぅ?」

 かくかくしかじかと私達の関係を説明し始める歩夢くん。

 最初は眉をひそめて聞いていた来夢くんも、説明が終わる頃には納得がいったようで、顔が綻んでいた。

「なーんだ、そういうことか。期間限定のスタッフの1人なのね。まー、歩夢のことだからそんなことだろうと思ったわ!」

「……」

 調子のいいことを言う来夢くんを、苦笑しながら無言で横目で見る歩夢くん。

 来夢くん面白い人だわ。確かに、大丈夫そう。

「なるほどねー、まあちょうどよく見つかってよかったじゃん、歩夢」

「まあね」

 友基くんの言葉に、持っていた荷物とボードを部屋の隅に置きながら、歩夢くんは答える。

「ねー、君、名前は?」

 友基くんは、人懐っこい笑顔を浮かべながら、私に尋ねた。

 初対面の私に緊張させまいと屈託なく話してくれる。来夢くんに引き続き、人柄の良さを感じる。

「…だよ。フリーのフォトグラファーしてるんだ。スノーボードのことはよく知らないけど…しばらくよろしくね!」

 元々人見知りはあまりしない私は、いつもの調子で、歩夢くんと最初に話した時のように言った。

 フリーで活動してると、人見知りなんてしてる暇ないから、自然とこういう性格になってしまったのだけれど。

 すると、来夢くんが。

「…わいい」

 私から少し離れていて、よく聞こえなかった。私が軽く「ん?」と尋ねるように首を傾げると、

「あ、いや。なんでもないです!よろしくね!」

 何故か首を必死でぶんぶん振りながら、焦ったように来夢くんは答えた。

 ……なんだろ。ま、いいか。

 でも、歩夢くんが不機嫌そうな顔をしたような。ほんの一瞬だったけど。

 少し気になったけど、ちゃんと見直すとポーカーフェイスの歩夢くんの表情からは、そんな感情は見受けられなかった。

 気のせい、か。


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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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