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1/20,コロラド州 アスペン コテージ no.2

 そして彼はコテージの扉を開けた。中の様子が少し見えた。リビングルームのようで、ノルディック柄のラグの上に茶色い皮のソファと木製のテーブルがあった。

 ソファに2人の人間がいた気がしたけど、歩夢くんに隠れる形になってしまったので、よく見えなかった。

「歩夢ー!遅かったなー!」

「なんかトラブル?」

 2人の男性の声が聞こえてきた。親しげで取り繕っていない声音が、彼らと歩夢くんが気心がしれた仲だとわかる。

「ん。少しね」

 相変わらず落ち着いた声の歩夢くん。しかしやはり、どこか気が安らいだようだった話し方だった。

 ホードも戻ってきたし、お友達にも会えたから安心したんだろうな。

「今日から調整入るって聞いてたのに来ないから心配して…ん?」

 歩夢くんの後ろに隠れていた私の存在に気づいたのか、部屋にいた2人のうちの1人が首を伸ばして私の顔をのぞき込んだ。 黒髪短髪の、元気そうな青年だった。私と目が合って、驚いたようだった。

「あ、あの。えっと」

 …何を言うか考えていなかった私は口ごもる。すると。

 彼は軽快な仕草で歩夢くんの頭を軽く小突いた。…え、なんで。

「…いって。何すんの来夢」

 大して痛がる素振りもなく、歩夢くんは尋ねる。…あ、この人が来夢くんか。

 そうすると、もう1人のロン毛で犬っぽい子が友基くんか。

 来夢くんはちょっと怒ったかのように、歩夢くんに詰め寄る。

「おい! 歩夢!」

「…何」

「遅れてきたと思ったら! なんだよその子は! どこで捕まえてきたの!? その…なんだ! ずるいぞ!」

 よくわからないことを言う来夢くん。その後ろでは、友基くんがくくっと笑いを堪えていた。

「…あのな、来夢」

「いつも歩夢ばっかりモテてずるい! そんなに興味無いくせに! 俺だってかわいい子引っ掛けたい! 」

「だからさ、来夢」

「ねえねえ! 歩夢のどこがいいの!? 顔!? クールなとこ!? スノボの腕!? ねー!教えてー!」

 今度は私に詰め寄ってくる来夢くん。私は後ずさって、たじたじになるしかなかった。

 …すると。

「まー、落ち着けよ来夢。歩夢はナンパとかしないだろ」

 苦笑を浮かべながら、友基くんがぽんぽんと来夢くんの肩を叩く。

「え、お、おう」

 彼の言葉に少し自分を取り戻したらしい来夢くんは、私に近づけてきていた体を一歩後退させた。

 そして歩夢くんは面倒そうに嘆息してから、話し始めた。


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Author:泰人
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久しぶりに書いてます。

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