記事一覧

1/20,コロラド州 アスペン コテージ no.1

 

Your name






side

 あのあと、無事に戻ってきた歩夢くんのスノーボードを受け取り、空港で私の必要最低限の生活用品を買い物(通訳の給料から差し引いてくれるらしい。感謝。)してから、歩夢君が宿泊しているというコテージに着くと、すでに夜になっていた。

 私のことを突然救ってくれた神様の名前は、平野歩夢といった。年齢は私よりも一つ下で、19歳。

 最初に話しかけたときは、絶望的な状況に日本人がいたことに狂喜して、何も考えずにペラペラ身の内を語ってしまったけど、よく考えればよく話に付き合って、私みたいな得体のしれないやつを雇ってくれたよなあと、つくづく思う。

 まあ、彼も彼で急に通訳がいなくなって困っていたようだし、役に立てるんなら別にいっか。

 しかし、雇用契約を結んだあと、改めて見て思った。歩夢君は、かなりかっこいい。

 NIKIのニット帽を目深に被り、裾からはきつめにかけたツイストの毛がはみ出ていた。大半の人には似合わない髪型だけど、茶褐色のアーモンド形の瞳に、通った鼻筋、形の良い少し厚めの唇という、整っているけれど個性的な顔立ちの彼には、それがよく似合っていた。 

 そして彼は、年齢の割には終始落ち着いていて、どこか達観しているような、悟りを開いているような、うまく言えないのだけれど……そんな雰囲気があった。

 世間の19歳とはかけ離れたその浮世離れをしたオーラは、歩夢君をますます類を見ない魅力的な青年に仕立て上げていた。

「あ、そういえば言い忘れてたけど、俺の仲間も二人いるんだ」

 コテージの扉の前にたどり着くと、歩夢くんは言った。

「仲間?」

「同じボーダーで友基と来夢って言うんだけど。いいやつらだから、まあ大丈夫だと思う」

「へえ…」

 歩夢くんが言うんならきっと本当に大丈夫なのだろう。まだ出会って数時間だけど、彼にはそう思わせる何かがあった。

 彼からは、変に上辺を取り繕ったり、他人に気に入られようとして媚を売るような要素を一切感じないのだ。

 自分の思う通りに振舞っているのに、人を惹き尽きてしまう魅力を彼は持っている。

 本当に、どうして出会ってすぐなのにそう思わされてしまうのだろう。不思議なひとだ。


励みになります→ web拍手 by FC2

前のお話   次のお話へ

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

名前変換

 

Your name