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1/27 コロラド州 アスペン コテージ No.2

 

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歩夢side

の部屋から出ると、廊下の少し先に友基が立っていた。

來夢はーー。たぶんまだ寝てるな。よかった。見られたらめんどくさいところだった。

友基は俺を神妙な顔で見ていた。まあ、朝女の子の部屋から出てきたのだから、いろいろ勘ぐってしまうだろうな。

「ーー歩夢。と……」

「すごいと思わない? 俺、好きな子と一晩一緒にいても、何にもしなかったんだぜ」

友基が何らかの質問をする前に、俺は彼が求めている内容を全部言ってやった。全て真実の内容を。

友基は少し驚いたような顔をした後、いつもの穏やかだがどこか抜け目ない表情に戻った。

「そりゃすごいね」

「ーーでしょ?」

俺は自嘲的に笑う。ーー笑わなきゃ、やってらんない。

そんな俺の顔を見て、友基は真剣な口調でこう尋ねた。

「ーーこれからどうするの?」

「これからって?」

「Xゲームが終わったら。だって、終わったらは……」

「そうだね。だからどうもしないよ」

俺ははっきりと言った。友基が少し辛そうな顔をしたような気がした。

「それで、いいの?」

「ーーいいも、何も。そうするしかないじゃん、俺たち」

「………」

が俺だけのものになってくれるなら、俺はとっくにそうしてるよ。……多少強引な手を使っても」

俺は少しやけくそになる。

「でもそういうの、無理だろあの子は。すぐにどっか行っちゃうよ。……それに俺には、そんな子を追いかけてる暇はない。分かるでしょ? 友基には」

「……まあね」

友基は気ごちなく笑う。

「大丈夫なの? 歩夢は」

「……大丈夫だよ。つーか、大丈夫にしなきゃない。少し経てば、元の日常に戻るだけ。俺は他のことに目もくれずにボードをやり続ける。たったそれだけのことだよ」

「……そっか」

友基はため息混じりに言った。こいつは俺のことをよくわかっている。

だからこうするしかないというのも理解している。

ーー少し前までやたら俺を焚き付けていたのは、俺がギリギリになって自分の気持ちに正直になって、整理がつかないまま彼女と別れるのを危惧していたからなのだろう。

まあ、いい性格をしている友基のことだから、単に面白がっていただけなのかもしれないが。

いや、恐らく両方だな。

「ま、來夢にはいろいよ黙っとくよ。あいつは熱しやすく冷めやすいからほっといても大丈夫だろうし。今言うとめんどいから」

「それはありがたいね」

俺は力なく笑う。そして友基と別れ、自室に戻った。

ーーやっぱりさっき。の部屋で。

後先考えずに欲望に身を任せてしまえばよかったんじゃないのか?

俺の中の悪魔が後悔の念を抱かせる。……しかし。

慌てて首を振り、これでよかった、よく耐えた、と俺は思い直す。

そうだ、これでいい。


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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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