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1/26 コロラド州 アスペン 林中 No,3

「You are a nice woman.(あんた、いい女だな)」

………。

ーーはぁ?

思ってもみないことを言われ、私は眉をひそめた。

「I wonder if the old woman is crying or obediently obeying. It is the first time that I've been nearly able to say so far. Praise you.(今までの女は泣くか素直に従うかどっちかだったのによ。ここまで言いくるめられそうになったのは初めてだ。褒めてやる)」

「……So(……そう)」

私は興味なさそうに言う。

「I want to make you cry more and more.(ーーますますあんたを泣かせてみたくなった)」

黒髪の男が1歩私に近づいた。私は反射的に、1歩後ろに下がる。

「ー ー Hey. But she took pictures.(ーーおい。でもこいつ写真もってるって)」

金髪の男が焦ったように言う。ーーそうだ!頑張れ金髪!もっと言え!……私は彼を必死で応援した。

しかし黒髪は、動揺もせずにこう返した。

「It is bluish? Even if it is true, it is not too low that the possibility of reporting betrayal after she trades.(はったりだろ? 本当だとしても、こいつが取引したあとに裏切って通報する可能性だって、低くない)」

ーーですよねー。私もそう思います。

よく考えればわかることなのだが、彼らがよく考える前に逃走したかった。

「ーーCertainly.(ーー確かに)」

金髪は黒髪の言葉に納得したようだった。ーーおいおい納得すんなよ。確かにじゃねーよ。

か、考え直せ! まだ若いんだから! 君たちには未来がある!

ーーなんて思ったところで、彼らに通じるわけもなく。

「With that being caught, the number of women who committed increased, so much that sin will not change.(それに捕まったところで、犯した女が一人増えたくらいで大して罪は変わらないだろ)」

っておい。どんだけ女襲ってんだこいつら。なんで今まで捕まんないんだよ。

まあアメリカはそれ以上の凶悪事件が多いから、こんな小悪党に警察は構っている暇はないのかもしれない。

「That's right.(それもそうだな)」

金髪も私の方に近づいてくる。2人はゆっくりゆっくり、確実に私に接近してきていた。

私は彼らを冷たい目で見据えながらも、さすがに後ずさってしまう。しかし、背中に何かがぶつかった。

横目で確認すると、大きな木の幹だった。横に回って逃げることは、もうできない距離にまで彼らは来ていた。

ーーいよいよヤバい。そう実感すると、私の中の恐怖が一気に増大する。

「... ... Arousing(……そそるなあ)」

さすがに私の表情に畏怖の念があらわれてしまったのだろう。黒髪の男は、私の顔を見ていかにも楽しそうに言った。

男達の手が私に伸びる。ーーあ、もうこれはダメだ。

私が思わず目を閉じて彼らから顔を背けた……その時だった。

「Freeze.(動くな)」

男達の後方から、落ち着いているがはっきりとした声音が聞こえてきた。

ーー低いけれど、少年らしさを残した色気のある魅力的な声。間近で聞くとドキドキしてしまうけど、また聞きたいと思わされてしまうあの声。

歩夢くんの、声。

それに気づき安堵すると、私は力が抜けてその場にへたりこみそうになる。しかし背中に当たっている木の幹のおかげで、なんとか体を支えられた。

涙が瞳を滲ませる。とめどなく涙が溢れそうになるのを堪える。ーー張っていた気が一気にほぐれたせいだろう。

現れた歩夢くんは、私と男達のあいだに割って入り、彼らには向けてこう言い放った。

「Get lost.(消えろ)」

私とそんなに身長は変わらないはずなのに、その背中がやけに大きく見えて。とてつもなく頼もしく見えて。

ーーやっぱりかっこいいなあ、歩夢くんは。

こんな状況なのに、私はぼんやりとそう思ったのだ。


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Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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