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1/26 コロラド州 アスペン 林中 No,2

 

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常に強気でいなければならない。他人に弱みを見せてはいけない。脆弱な自分を悟られてはならない。

堂々としていろ。絶体絶命の時こそ、四面楚歌の時こそ。ーー自分の限界が来ても。自分を崩してはならない。

ーー女ひとりで世界中をまたにかけるためには。小さいこの体で他人に認めてもらうためには。それが必要最低条件。

私は今までそうやって生きてきた。

そしてこれからもずっとそうやって生きていく。

「Do not you talk anything?(……何も喋んねーの?)」

「I wonder if she was scared to be scared. Her reaction is more interesting.(怖くてびびっちゃったのかなあ。反応がある方が面白いんだが)」

男達は私はおもちゃのように眺めながら、楽しそうに言う。

高速で頭の中で打開策をまとめた私は、満を持して口を開いた。

「I took a picture yesterday. A picture of two ladies just before. I took the scenery and they happened to see them.(ーー昨日写真を撮った。さっきの女性二人の写真。景色を撮ったら偶然入っていたのだけれど)」

できるだけ無表情で、低い声でゆっくり言う。男二人は突然話し出した私に、不審げに眉をひそめる。

「I told my friend by the earlier phone. "It is going to be bad situation, if you have something, please submit this picture to the police." It was nice to send a picture to a friend yesterday..(さっきの電話で、友人に言ったの。”ヤバそうだ。何かあったら写真を警察に提出しろ”って。たまたま昨日、友人に写真を送っといてよかった)」

男達の表情が強ばる。私が考えて考えて出した、この場では最強と思えるカードに明らかに怯んでいる様子だった。

「If women are marked by the police, you will be alert.(女性達がマークされれば、あんたたたちも目星がつけられるだろうね)」

相変わらず淡々と、感情を込めずに言う。

まあ全てはったりなのだが。私はあの女達の写真なんて撮ってないし、もちろん歩夢くんにそんな写真も送っていない。

が、ここでは彼らには私の言葉が真実なのかそうでないかを確かめる術はない。

しばしの静寂が場を支配した。2人は虚をつかれたように私を見ていた。ーー小さくてか弱そうな日本人の女が、まさか反抗するとは思っていなかったのだろう。

「――I will respond if it is a transaction.(ーー取引なら応じるぜ)」

金髪の方が口を開いた。私は内心ガッツポーズを取る。が、もちろん喜びを顔には出さない。

私にとって、男二人を敵に回して、優位に立つことなんて当たり前。日常茶飯事。ーーこいつらを出し抜くためには、そんな風に見せなければならない。

「I will put the camera here. It's a nice camera. If it sells it will be 1000 dollars.(カメラは置いていく。いいカメラだよ。売れば1000ドルにはなるはず)」

私には切り札(嘘八百だが)あるとはいえ、あまりに私本意な条件では、彼らのプライドが許さない。

彼らに私を狙ったことによる利益をもたらすことで、「まあ、いいか」という気にさせる。

相手が納得する妥協点といったら、こんなものだろう。もちろん大切なカメラを私は手放したくはない。

しかし、これで身を守れるのなら安いものだ。カメラはまた買えばいい。少しの間写真が取れないのは、惜しいけれど。

金髪の表情が少しだけ緩んだ。彼が思ってた以上に、得な取引だったのかもしれない。

「OK. Put the camera at your feet. You can go.(OK。足元にカメラ置いていけ。行っていいよ)」

「...... You may strike me at the moment of putting it. It puts it under the oak tree. Do not move from this place until you put it.( ……置いた瞬間襲ってくるかもしれない。あっちの木の下に置く。置くまで今の場所から動かないで)」

私はかなり離れた大木を指さして言う。金髪は一瞬渋い表情をした。私が彼の思惑を見抜いたせいだろう。

「Okay, that's fine.(わかった、それでいい)」

金髪は諦めたように言った。

思った以上にうまく事が運んで、私は会心の笑みを浮かべそうになる。

しかし最後の最後まで気を抜いてはならない。私は表情を崩さず、例の大木に向かおうとした。

ーーだが。

「...... Hey, please wait(……おい、待てよ)」

今まで黙っていた黒髪の方が口を開いた。私はびくりとしそうになるが、堪えてゆっくり彼の方を向いた。

黒髪の男は、私を興味深そうに一瞥すると、こう言った。


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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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