1/26 コロラド州 アスペン コテージ No.2
- 2018/04/01
- 15:47
Your name
「え!? なんで友基……」
「いいから。行くよ~」
「ちょ、まっ……痛い痛い!」
少し強めに來夢の背中を押し、身体を床にくっつけさせようとする友基。 はそれを見ながら、「あはは」と笑うと、俺の方を向き直ってこう言った。
「あ、それなら私ちょっと出かけてきていい?」
「……写真撮りに行くの?」
「うん!」
嬉しそうに は頷く。ーーそんな顔をされたら、ダメなんて言えない。
本当は嫌だけど。スコッティとかスコッティとか主にスコッティとかがその辺にいるし。
俺は心の中で溜息をつき、なんともない素振りでこう返した。
「いいよ」
「やったー! 歩夢くんありがとう!」
……しかし、こうしていちいち俺に許可を取ってくるのもいいものだ。なんだか、 が自分の物になった気がして。まあ、単に雇い主だからだろうけど。
「あ、だけど夕方には帰ってきてね。夜は危ないから」
「うん」
「あと、連絡は必ず取れる状態でいてね。俺が電話やLINEをしたら早めに反応すること」
「はいはーい!」
「あと誰かについていっちゃだめだよ(スコッティとか)」
「はーい!……ねえ、そろそろ行っていい?」
まだまだ言いたいことはあったが、 がしびれを切らしたので、「いいよ、行ってらっしゃい」と俺は仕方なく言った。
「はーい!行ってきまーす!」
すると は、さっさとコテージから出て行ってしまった。ーーまったく、俺の気も知らないで。知るわけないだろうけど。
今彼女の頭の中の99%は、美麗な景色の前でシャターを押すことで占められているのだから。
ーー俺がそんなことを思っていると。
「歩夢……お母さんみたい」
「過保護……?」
俺たちの会話を見ていた來夢と友基が、意外そうな表情で俺を見て言った。ーーちょっと恥ずかしくなる俺。
「……別にいいじゃん」
なんとかくいたたまれなくなった俺は、あぐらのようなポーズを取ると、そのままお腹から身体を曲げる。顔は床につきそうな状態で、下を向く。
「まあ……心配なんだよね? 歩夢は」
友基のからかうような声は聞こえなかったフリ。俺はそのまま念入りなストレッチを続けた。
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