「Haha. You truly like the camera, do not you?(はは。本当にカメラが好きなんだね)」
「That's because I like it and I am working!(そりゃー、好きだから仕事してるからね!)」
「That's right. Oh, why do not you check if you can use it once?(それもそうか。あ、一応使えるかどうか確かめて見たら?)」
「Indeed, certainly(……なるほど、たしかに)」
スコッティに言われ、私はコンセントを探す。アメリカ製だから変換プラグがなくてもそのまま挿せるはず。
「Well, the location of the outlet is ......(えっと、コンセントは…)」
「Oh, here.(あ、こっちこっち)」
スコッティが自然な動作で私の手を引き、ベッドの脇まで連れていった。コンセントは、ホテルではよくある場所ーーベッドの頭部分にあった。
「Thanks.(ありがとう)」
私はベッドに腰掛けコンセントに充電器を挿して、充電器の端子をカメラに繋ぐ。
そして電源を入れた。カメラの小さい画面に光が走る。無事起動できた。
「Perfectly! Thank you!(ばっちりー! ありがとう!)」
私は傍らに立つスコッティを見上げ、笑顔でお礼を言う。彼は人懐っこい笑みを浮かべながら、
「You are welcome.(いえいえ、よかったね)」
「Yup! Oh, it was really good. Ah, I will reward you somehow!(うん! あー、ほんとによかったー。……あ、なんかお礼するね!)」
私はそう言うと、起動したカメラの画面に目を落とす。先日まで自分が撮っていた写真を早く見かえしたかった。
「Thanks(お礼、ね)」
スコッティが私の頭上でつぶやく。が、私はカメラの画面に気を取られ、上の空でそれを聞いていた。
お、最近撮った写真いいじゃーん。いつもは人物はあんまり撮らないけど、3人の練習してる姿は絵になるなあ。
「Hey,
(ねえ、
)」
「Hmm?(んー?)」
私は相変わらず意識のほとんどを写真に集中させながら、ほぼ無意識で返事をする。ーーすると。
「Hey, look at me.(ねえ、僕の方を見て)」
「ーーHmm?(ーーん?)」
さすがに充電器をくれた恩人にそう言われたので、私はカメラから視線を逸らし、見上げてスコッティの顔を見た。
スコッティはあの少年のような微笑みにどこか不敵な要素を混ぜながら、私を見下ろしていた。
そして、彼はかがむと、両手を私の肩の上に優しく置き、私を海のように真っ青な瞳で見つめ、こう言った。
「If you say thank you, will you stay with me overnight?(お礼なら、このあと1晩付き合ってくれる?)」
静かだけど、強い口調だった。私には選択権がないような、有無を言わさぬような、そんな強さだった。
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