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1/24,コロラド州 アスペン レストラン No.4

 

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慌てて口の端についていたソースを手で擦り落とし、手を洗う私。

女子トイレの大きな鏡を見て、ほぅ、っとため息をつく。

はー、びっくりした。

ずーっと写真を撮るために生きてきた私は、ここ数年はあまり同世代の男の子と関わる機会はなかった。

関わったとしても同じようなカメラバカで女の子にああいうことをするよりは、写真を撮るようなやつばっかりだったので、私ははっきり言って恋愛に対しては疎いし、免疫がない。

「ーーなんか、あっさり触ってきたよなあ」

やっぱりモテる(たぶん。よく知らんけど)から、女の子に接するのに慣れてるんだ。

ああいう風にするのも彼にとっては自然なことで、きっと他意はないだろう。

歩夢くんのことはかっこいいと思うし、他の人にはない何かを感じる。ーーこんな聞き飽きたような言葉では語れないほど、彼の魅力は恐ろしく深い。

だけど、好きとか、恋とか。私は経験が無いので、よくわからない。

「……ちょっと、焦りすぎたよな、さっき」

変に思われてないかなあ。懐が深そうな歩夢くんは、何事もなかったかのように接してくれそうだが。

そんなことを考えながら私は鏡で再度顔をチェックし、女子トイレから出て通路を歩いた。ーーすると。

「Is there Scotty there?(あれ、スコッティ?)」

先程充電器の話をした歩夢くんの好敵手の彼が、通路にいた。

すると彼は私を見て爽やかに笑った。少年のようだが、整った美麗な顔だち。

ーーなんかハリウッド俳優みたいだなあ、この人。

「Hey, I was waiting.(やあ、待ってたよ)」

「Huh?(へっ?)」

思いもかけない言葉に、私は虚を付かれる。

「I contacted my team mate who has a charger. Then I heard that you will hand it over to you.(充電器を持っているチームメイトに連絡したんだ。そしたら、譲ってくれるそうだよ)」

「Huh! really!?(え! ほんとに!?)」」

「Yup. I wanted to tell you about it sooner. I was waiting because you saw that you went to this place.(うん。早く伝えたくてね。君がこっちに行ったのが見えたから、待ってたんだよ)」

ト、トイレの近くで待っていてくれるとは。なんか申し訳ない。

「Thank you! I am very happy! I'm glad the camera has recovered!(ありがとう! すごくうれしい! やったーカメラ復活!)」

「Hahaha. ... ... What if you go get it now?(ははは。……なんなら今から取りに行くかい?)」

「Huh?(え?)」

「The hotel where I am staying is nearby. Please let Ayumu go home earlier and let's go with me.(僕が泊まっているホテルはすぐ近くなんだ。歩夢たちには先に帰ってもらって、一緒に行こうよ)」

私は一瞬考えた。

充電器は早くほしいけど、もう夜も遅いしなあ。大会が近い歩夢くんたちを、今から取りに行くのに付き合わせるわけにはいかない。

かといって私が一人で行くのも、この時間なら心配させちゃうかも。

「Oh, on the way back I will send you up to your accommodation and Ayumu will contact you about that, so do not worry it's okay(あ、帰りは泊まってるところまで送っていくし、歩夢には連絡を入れておくからその辺は心配しなくてOKだよ)」

私が不安に感じていたことを、あっさり解消してくれたスコッティ。

「Then I will be fine. I want a charger ... I will go through about you!!.(それなら大丈夫かも。充電器ほしいし…ついてくね!」

「OK.Well then, you follow me.(OK。じゃあ、僕についてきて)」

するとスコッティは、私たちが入ってきた扉とは反対側にあったもうひとつの出入口へと向かいだした。

もう一個出るとこあったんだ。歩夢くんたちはたぶん入ってきた扉の方から出てったよなあ。

ひとこと言ってから行きたかったけど、連絡してくれるならまあいいや。

あ、私も連絡しよう。

空港で、プリペイド式のスマホを歩夢くんが買ってくれたので、私は今はそれを使っている。

私はスコッティについていきながら、LINEを立ち上げた。


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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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