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2004/8/30 新潟県村上市 秘密基地 No.2

 

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の大人な言動の意味がわからず、苛立った俺は、彼女に詰め寄る。

俺と一緒にいたいんじゃないのかよ。なんでそんなこと言うんだよ。

ーーすると。

「ーー!」

はそんな風に荒ぶる俺の頬をそっと掴んで。

俺の唇に、自分の唇を一瞬だけ合わせたんだ。ーーテレビで見たことがある。キスってやつだった。

「あーくん、大好きだよ」

は唖然として固まってしまった俺に、悲しげに笑ってそれだけ言うと、踵を返して小走りで大人の声のした方へと向かってしまった。

「名前! いたのね! よかった……! よかった……!」

「歩夢は!?」

「……あっちに、いるよ」

の母親や、近所の顔見知りのおじさん、のそんな会話を俺はぼんやりと聞いていた。ーーすると。

「歩夢!」

母さんが俺の方へと走り寄ってきて、俺が何か言う前にきつく抱きしめてきた。

「歩夢……! 神社から出るなって言ったでしょ! このバカ! でも……よかった……!」

めちゃくちゃ怒られると思ったのに、母さんが泣きながら俺を抱擁するので、なんだか拍子抜けてしまった。ちらりとの方を見ると、も母親に抱きしめられ、少し苦しそうにしながら「ごめんなさい」と言っていた。

「ーーねえ、母さん」

母さんが少し落ち着いてから、俺は口を開く。

「どうして俺とは……一緒にいれないの」

母さんははっとしたような表情をしたようだった。俺とが、なぜ言いつけを守らず神社から出て、ここにいたのか理解したようだった。

母さんは一瞬怖い顔をした。怒られる、と俺は身構えた。しかし母さんは、やれやれといった顔をしてため息をつくと、こう言った。

ちゃんのことが、好きなのね。ーー歩夢は」

「…………」

俺は答えはない。好きってどういうことだろう。もちろん好きは好きだけど、母さんや父さん、英樹や海祝、ほかの友達に対する「好き」とは明らかに種類が違っていて。

なぜかへの好きという想いを口にするのは、ひどく恥ずかしかった。

「好きな女の子をさらうのは、歩夢にはまだ早いよ」

「ーーそうなの? いつになったら、と好きなように一緒にいてもいいの? 小学生?」

「そうね……。あと10年……それでも早いか。15年かな。歩夢が20歳になったら、好きな女の子を離さないようにしなさい」

「にじゅっさい……」

なんて遠いのだろう。まだ5歳の俺にとっては、永遠に訪れないような気さえした。

もう俺は一生とは会えないのだ。そう思えた。

「……なんで。やだ……やだ……! いやだ!」

「歩夢……」

「俺はと一緒がいい! 一緒がいいのに!それだけなのに!」

ーーそして俺は、声を上げてその場でわんわん泣いた。赤ん坊の頃は知らないけれど、大声を上げて泣いたのは、それが初めてだと記憶している。そしてその後も、確か無い。

そんな俺の横にやってきたは対照的に声を上げずに、静かに涙を流していた。







夜の海って霊的なものがいそう((((;゚Д゚))))

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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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