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2004/8/30 新潟県村上市 神社 No.2

 

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「ーー?」

いつの間にか、は黙りこくって俯いていた。かき氷はカップにまだ残っていたけど、の傍らに置かれ、すでに溶けて液体になっていた。

「ーーあしたで、バイバイだね」

そしてが俯きながら言う。

そう、は明日で村上から去ってしまう。その事は俺も分かっていた。

寂しくないと言ったら嘘になる。しかし、が村上からいなくなってしまっても、別にまた会って遊べると俺は思っていた。

小さな俺には日本の広さ、世界の広さがよくわかっていなかった。村上じゃない所に行ったとしても、車を小一時間走らせれば会えるんだって、思っていた。

遠くに住んでいて、スケボーの大会でしか会えない友達もいたけれど、そういう奴とも会う度に仲良くやれていたし。

だからがなぜそこまで暗くなるのか、よく分からなかった。

「村上にいなくても、またあって遊べるよ」

俺は素直に思ったことを言った。この前風邪をひいてがスケートパークに来なかった時は、いきなりいなくなったと思って焦ってしまったけれど。

次に会う約束さえすれば、大丈夫な気がしていた。

「ーー会えないよ、もう」

「え……?」

しかしの予想外の言葉に俺は固まる。

「なんで、あえないの」

「だって、つぎに私がいくの……がいこくだもん」

「がいこく……?」

がいこく、って……? スノーボードですごい人が多いアメリカとか、そういうところだろうか。

「うみのずっと向こうだよ、私がいくところ」

「アメリカとか……?」

「アメリカじゃなくてイタリアだけど……同じくらいとおいよ」

の言葉に俺は虚をつかれた。

外国なんて、俺はまだ行ったことがない。海の向こうということは、父さんが運転する車では行けないということだ。

瞬間、が俺の手ではどうすることも出来ないほどの遠くへ行ってしまうことを俺は理解した。外国なんて、俺には行く方法すらわからない。

また会って遊ぶことなんてきっとできない。の言う通り。

「ね、だからもうあえないの、私たち」

そしてが俺の方を見て言った。その瞳は涙で潤み、寂しげに笑っていた。

ーーいやだ。

ともう会えなくなってしまうなんて。一緒にスケボーできなくなってしまうなんて。

手を繋いで一緒に遊んで、2人だけの時間を過ごすことが出来なくなってしまうなんて。

「……、行こう」

俺は立ち上がり、座っているに向かって手を差し出した。は怪訝な顔をしながらも、俺の手を取り立ち上がる。

「どこへ……?」

尋ねるに俺は答えない。そのままの手を引っ張り、早足で歩き始める。

手の先からは戸惑いの色を感じたけれど、は俺についてきた。

幼い俺は、このままと逃げて、の親に見つからなければいいと思った。見つからなければ、の親は諦めてを置いて外国へ行ってしまうんだと思った。

そうすれば、は俺の家でいっしょに暮らすことになって。ずっと一緒にいられると思った。

そして俺たちは母さんの言いつけを破り、神社の外へと出た。向かったのは、俺としか知らないーー

スケートパークの近くの森の、秘密基地。







祭りのくじって当たり入ってないですよね。

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Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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