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2004/8/30 新潟県村上市 神社 No.1

 

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歩夢side

夏の村上は祭りが多い。七月中人にある村上大祭を初め、七夕祭り、瀬波大祭……地区ごとの小さな祭りも含めれば、数日に1度は花火が上がっていたり縁日の賑わう声が聞こえてきたりする。

今日も、スケートパークの近くの神社でちょっとした祭りが催される。夏の終わりの今夏最後の祭りだろう。

英樹のお下がりの浴衣を着せられた俺は、母さんに連れられて英樹と海祝と一緒に、祭りが行われる神社の石段をゆっくり登っていた。

そして、石段を登りきり小さな鳥居をくぐると、そこにはーー。

「あーくん!」

俺の姿を見るなり、満面の笑みで手を振るがいた。

いつもジーンズや短パンなど、ボーイッシュな格好しかしないは、紺の浴衣を来ていた。髪は頭のてっぺんで丸いお団子にしてまとめられていて、キラキラしたかんざしも刺さっている。

いつもと違う、華やかな姿の。どうして浮き足立った気分になり、心臓の鼓動が早くなるのだろう。ーー幼い俺には、その感情の正体が分からない。

「ーー母さん」

「ん?」

と一緒にあるきたい。いい?」

気づいたら俺は母さんにそう言っていた。母さんは少し「うーん」と悩んだあと、

「神社から出なければいいけれど……あ、どうしますか?」

の母親に尋ねる。すると「いいですよ。でも、神社から出てはダメよ」との母親はに向かって言った。

「うん! わたしもあーくんと一緒がいい」

嬉しそうにが言うので、やった!という思いがこみ上げてきそうになった。

「じゃ、行こう」

すると俺はの手を引いて、母さん達から離れた。は俺の手を握り返し、相変わらず可愛らしく微笑んだまま、俺の隣を歩く。

そして俺は、母さんにもらった数百円でと夏休み最後の祭りを楽しんだ。

ゲーム機狙いでくじを引いてハズレのちゃちなおもちゃをお揃いで持って。ひとつの綿あめを2人で半分こして。

スーパーボールすくいでは、すぐに網が破れてしょんぼりするを元気づけようと、慎重に取り組んだ俺が2個すくって、1個ずつ持って。

そんな風に、2人でいろいろな縁日の遊びや食べ物を、共有するようにめいっぱい楽しんだ。

「あそこですわって食べよ」

かき氷を1つずつ買い、神社の社の段差を指さして俺が提案すると、な頷く。そしてかき氷を零さないように慎重に歩き、二人並んで段差に腰を下ろした。

「つめたくておいしいね、あーくん」

イチゴシロップで唇を赤く染めたが、隣で微笑む。

「ーーそうだね」

メロン味のかき氷をすくいながら、俺は答えた。ーーすると。

ひゅー、という音が響いたかと思うと、空に大きな花火が咲いた。社は高い位置にあり、花火が正面の空に見えて特等席だった。

「わー! よく見えるね!」

「うん」

が瞳を輝かせながら言う。ちらりとを見ると、の瞳に花火のカラフルな色が映っていて、ひどく綺麗だった。

そしてしばらくの間、は「きれー」「すごく大きい」とか言いながら、かき氷を食べながら花火を見ていた。

だが、ふと俺が気づくと。


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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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