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プリクラ No.3

 

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“次は……もう最後だからね! キスしちゃお~! ラブラブっぷりをアピール!”

……。

え、今なんつったこいつ。

「え、え……さ、さすがにねえ! それは、ちょっと……ねえ、歩夢くん!?」

酷く狼狽した声を上げる。今まではギリギリのところで許容していたようだが、さすがにキスは耐えられないようだ。

ーーだけど俺は。

「なんで? やれって言ってるんだからしようよ」

平然と言ってやる。俺が普段、どれだけ君の体に触れたいと望んでいるのか、知らないのか?

こんなチャンス、逃すわけないだろ。

「はっ……!? いやいや! なしなし! 無理! 」

「こういうのは楽しんだもん勝ちなんでしょ?」

「そ、それとこれとは話が違う!」

「なんで? 嫌なの? 俺は楽しいけど」

「え……嫌っていうか……その……」

“じゃあ撮るよ~! 3、”

俺達がそんな押し問答を繰り広げていると、プリクラ機がカウントダウンを始める。俺はに近づき、有無を言わさせないように強く深くじっと見つめた。

「……

「あ、歩夢くん……?」

赤面しながら戸惑うに対して、俺は笑った。うろたえる彼女を面白がりつつ、容赦なく逃さないという、鋭い微笑み。

“2、”

そして俺はにさらに顔を近づけ、そっと彼女の頬を両手で包む。はもう逃げるような仕草は見せなかった。というか、頭ん中はすでにオーバーヒートしているようで、硬直することしか出来ないようだった。

“1!”

唇に、柔らかい感触。それと同時に、フラッシュがたかれる。そしてその状態のまま、数秒。撮影は一瞬で終わるはずだが、名残惜しくてなかなか唇を解放してやらなかった。

でもしばらくすると、我に返ったらしいが身動きを取り出したので、俺は渋々離れた。

そして、画面にたった今撮った画像が映った。

瞳を閉じながら、口づけしている俺たちの画像。

その画像は、まるで愛し合っている恋人同士のようで。

ーーどこかに貼り付けて四六時中持ち歩きたい。でも誰かに見られたら、やばいか。

……と、俺はへなへなとその場にへたり込むの横で、どうやってこの画像を持ち運ぼうか真剣に悩むのだった。







プリクラは撮影をし終えると、スタンプを押したり落書きをしたりするのが普通だが、が照れてそれどころじゃなかったので、俺たちは画像には何も装飾せずに、印刷が終わるのを待った。

ちなみに古い機種なので、スマホに画像を転送するサービスなどは当然なく。画像があれば、スマホのギャラリーに入れられたのに。本当に、どこに貼りつけようか。

「も、もう……まさか……ほんとに……キ、キスしてくるなんて……!」

シールが出てくるはずの出口を見ながら、少し我に返ったらしいがたどたどしく言う。

「だって、楽しむためにはちゃんとやらないと」

俺はしらじらしく、少し笑いながら言ってのける。はぐぅの根も出ないようで、赤い顔で俺を恨みがましく睨む。

「こ、こんなの誰にもあげられないし……貼れないよ」

そして照れを隠すように、大げさに不機嫌そうにが言う。

「そう? 俺は貼ろうかなー、目立つところに」

「ちょっ……やめてよね!」

「うそうそ、さすがに冗談だから」

「ほ、ほんとに!?」

「ーーうん」

いちゃついてる姿を人に見せつける趣味は俺にはないので、もちろん人目に付くところに貼ったりはしない。

ーー俺だけの、宝物にするよ。

「ーー俺の部屋にも、ゲーム無料券があるんだよね」

「え……? うん、たぶん」

いきなり話を変えた俺にきょとんとしながらも、が頷く。

そんなをじっと見つめて、俺は口角を上げた。

「もう1回撮ろうか。ラブラブモードで」

「……は!? と、撮らないから!」

俺の冗談に、は本気になって照れる。それが面白くて、俺は喉の奥で小さく笑った。

ーーさて。それじゃ、もう1枚は何に使おうか。

この古く小さなゲームコーナーで、君と過ごすには何をするのが1番楽しいのだろうか。

きっと、何をしても俺は心から満足するのだろうけれど。





と半分に分けたプリクラのシール。俺はその中の口付けをしている1枚を、スマホのカバーの内側に、こっそり貼ったのだった。







ちなみにこのとき歩夢くんも浴衣です(*‘∀‘)

主人公ちゃんもこっそりどこかに貼ってると思います(笑)

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Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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