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2004/7/28 新潟県村上市 スケートパーク No.2

 

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はこくりと頷くと、勢いよくドロップインをした。ーーすると。

「ーー!?」

ランプの坂道を下るにかかった体重が、想像以上に重くて。軽やかに一緒に滑るつもりだったのに、小さな俺の身体はあえなく転倒してしまう。

俺はと両手を繋ぎあっている。俺がこけたということは……。

も一緒に、転んだということだ。

!」

転んだ表紙に俺と手が離れて、そのまま坂を滑り落ちてしまったのか、はランプの底でうつぶせに倒れていた。

「だいじょうぶ!? ご、ごめん!」

「あー……うん」

心配になって俺は駆け寄ると、は顔を上げて笑いながら頷いた。どうやら怪我はしてなさそうだった。ーーだけど。

俺のせいで。俺がでしゃばるから。……英樹に負けたくないって、思ってしまったから。

に痛い目に遭わさせてしまった。

ーーなんで俺はこんなに小さいんだろう。どうして、英樹みたいに大きくないんだろう。

英樹みたいに大きければ、を守ることが出来たのに。

そういう思いが溢れ出て、「よいしょ」と身を起こすの傍らで涙がこぼれそうになる俺。

だが、しかし。

「あー、つぎはひとりでできるかも!」

豪快に転んだくせに、が意気揚々とそう言うので、驚いて出かけていた涙が奥に引っ込んでしまった。

「え……どうして?」

「んー? だってさ、ころんだけど思ったよりいたくなかった! だからしっぱいしても大丈夫だよ!」

「…………」

なんて前向きなことを言うのだろう。俺はさらに驚いて、じっと彼女を見つめることしか出来ない。

そして彼女の次の言葉に、さらに俺の心臓は震わせられた。

「それにさ、あーくんが近くにいたら……なんかこわくなかったよー! おにーちゃんがいたときよりも! なんでだろ?」

おにーちゃんとは英樹のことだ。

ーー俺と違って英樹はを余裕で支えられる。英樹と一緒にいるより俺との一緒にいる方が、怖くないなんてありえないのに。

だけどが嘘をついている風には見えなかった。……なんで、俺に対してそういう風に思ってくれるのだろう。

ただ、はこう言ってくれている。支えられなくても転倒してしまっても……。

「あーくんにおしえらるれのが、いちばんいい!」

俺が心に思ったことを、が至近距離で満面の笑みで言うもんだから、俺は……心底嬉しくて。

変な風な笑みを浮かべてしまったから、それが見られたくなくて慌ててからそっぽ向く。

「……大丈夫なの、おれ手つなげないけど」

そして照れ隠しをするために、やけに不機嫌そうに言ってしまう。

するとは、そんな俺の顔を覗き込んで、あの桜が満開になったような微笑みを浮かべたまま、こう言った。

「大丈夫! でも……一緒にいて!」

容赦なくにこにこして、俺にためらいもなくそんな要望をする

ーー君にこんな風に笑われて、こんな風に言われたら。

「ーーうん」

俺はそう言うしか、ない。それ以外の選択肢なんて、不可能だ。

ーーそしてその後、は俺が見守る中、とランプへのドロップインを数回の練習であっさりと会得した。







次回、一回大人編日常回(わりといちゃつく話)をはさむ予定です。

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Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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