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1/24,コロラド州 アスペン ダウンタウン no.1

 

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「これは違うの? メーカー一緒みたいだけど」

「あー……違うね」

「そっか」

手に持った充電器を、歩夢くんはそっと商品棚に戻した。

私のカメラの充電器を探すため、ダウンタウンにやってきた私たちは、電化製品が置いてあるお店をしらみつぶしに回っていた。

しかし、アスペンはリゾート地であるため、ダウンタウンにある店は高級ブランド店や土産物店、レストランがほとんど。電化製品専門の店は見つからず、雑貨屋の隅で扱っている程度だった。

それも旅行者に必要なドライヤーやら電池やら、モバイルバッテリーやらがほとんどで、私のマイナーなカメラの充電器なんてあるはずもなく。

「やっぱりないかな」

歩夢くんは充電器を、淡々とずっと探してくれていた。お昼前にダウンタウンについてから、すでに日が傾きつつあるのにずっと。

ちなみに來夢くんと友基くんはちょうどお手洗いに行っている。

優しいよなあ。

それもまったく押し付けがましくなく、さりげのない優しさ。ーーはっきり言って完璧だ。

隣でさまざまな機種に使える充電器を見比べている歩夢くんを思わず見つめる。彼は「こういのも、使えないだったっけか」と独り言のように言っていた。

ーー顔綺麗だよなあ。歯並びも整ってるし。口の形も色気がある。低めの声も聞いていて心地いいし、喋り方のテンポも絶妙だ。 何より魅力的なのは、その茶褐色の目。

元々形が綺麗なのは言うまでもないのだけれど、その瞳にはそれ以上の魅力を携えていると思った。

私が知らない、彼の今までの物語が、その瞳には深く刻まれているのだ。ーー恐らくは、ここまでの腕になるための努力、覚悟といったもの。自分の人生への姿勢。まあ、まだ彼のことはよく知らないのだけれど。

ーーそれにしても、本当に完璧にかっこいいよなあ。すごくもてそう……女の子に困ったことないんだろうな。

なんて私が思っていると。

「何?」

私がじっと見つめていたことに気づき、少し笑いながら歩夢くんは言った。

何かを人に尋ねる時、少し首を傾げるのは癖なのだろう。自然な動作が狙ってやっているのではないとわかるが、それがまたキュートで。ーーそして何より。

「かっこいいなあと思って」

……………。

ーーはっ。

突然聞かれたので、私は思わず心の声をそのまま言ってしまった。

「わっ! え、あの、ち、違う!いや、違くないけど! あのえっと、なんでもない!」

慌ててしまって、誤魔化そうとする私。全然誤魔化せていないけど。

「はぁ、どうも」

歩夢くんは大して動じた様子もなく、少し呆れた面持ちで言う。

「いや…えっと…ごめん…」

「別にいいけど。……俺もトイレ行ってくる」

すると歩夢くんは、すたすたとお手洗いの方へと向かってしまった。

わー、やっぱり言われ慣れてるんだろうなー。至って普通だわ。まあ変な事言ったの気にしてないようでよかった。

私はやはり充電器がないことを確認しながら、3人の帰りを待った。


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Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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