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2004/7/21 新潟県村上市 スケートパーク No.3

 

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しかし、やはりそううまくはいかない。勢いよく乗ってしまったため、女の子を乗せたボードは少しだけ進んだ。しかし彼女は足の位置も体の向きもめちゃくちゃだったので、すぐに豪快にすっ転んでしまった。

膝から倒れたようだが、顔ももろに床にぶつけてしまったようだ。腕にも相当な衝撃を受けただろう。

あ、そういえば怪我防止のプロテクターもヘルメットも付けてない。……あれは相当痛いのではないだろうか。

「だいじょうぶ……?」

俺は床に倒れふす彼女に駆け寄る。

ーー泣くだろうなあと思った。この年代の男の子は、すでに少しプライドがあるから泣くのを堪える子も多かったけれど、女の子にはそんなものない。スケボーのスクールに来る女の子達も、泣いてばかりだ。

だが、彼女は俺の予想外の行動を取った。

「えー! もう! なんでっ!?」

彼女はむくっと顔を上げると、そのまま勢いよく立ち上がる。ぶつけた顔が少し赤くなっているのに、まるで痛いなどという素振りはなかった。

「なんでころんだんだろ!? まねしてみたのに!」

「……いたくないの?」

そしてさも不思議そうに言う女の子に、俺は驚きながら尋ねる。すると女の子はきょとんとしてこう答えた。

「え? うん、いたいけど……それよりくやしいー! かっこよくすべりたいのに!」

ぷくっと頬を膨らませて言う。本当に、心底悔しそうだった。

ーー初めて見た人種だった。子供にとっては相当痛いはずなのに、それには構わず悔しさを全面に押し出す子なんて。それも、女の子だぞ。

少しの間呆気に取られていたが、その様子がおかしくて、俺は少し笑いそうになってしまった。

「……のりかたがあるから、さいしょはそれおぼえなきゃ。うまくのれないよ」

そしてそう助言すると、彼女は俺に詰め寄ってきた。いきなりやけに近づいてきたので、幼いながらも少しドキッとしてしまった。

「ねえ! のりかたおしえてくれない!?」

「ーーえ?」

「なつやすみのあいだ、わたしここにいるから! おしえてほしいの! なつなすみおわるころにはかっこよくのれるかな!?」

縋るように俺を見ながら言う。

ーーさっきは確かにめんどくさいと思ったのに。せっかくの夏休みを、女の子の相手だなんて。

だけどこの時の俺はすでに、目の前にいる彼女と一緒にいることに。

楽しい、と感じていたのだ。

「……それなりにはのれるようになるかも。がんばれば」

「ほんと!? やったー! じゃあおしえて! いい!?」

「ーーいいよ」

自分で好き勝手に滑ることが好きな俺が、人に教えることを承諾するなんて。自分でも少し信じられなかった。

だけど、すでにその時の俺は、彼女に惹かれていたのだ。だから自分の時間を犠牲にすることなんて、これっぽっちも惜しくなかった。

「あ! わたしは! きみはなんていうの? 」

「……あーくんって、みんなよんでる」

「あーくんね。なつやすみがおわるまで、よろしくね!」

満面の笑みで俺にそう言うを見て、俺も自然に頬が緩んでしまった。

「ーーうん。よろしくね、

それが5歳の俺と6歳のとの出会いだった。

ーーそしてそれは、夏休みが終わるまでという、たった1ヶ月ちょっとの短くて儚くてーーたくさんの初めてが詰まった、かけがえのない時間の始まりでもあったのだ。







私、スケボーちょっとやるんですけど、ビビりで安全なことしかしないので全然上達しません……。転ぶと痛いです。

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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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