3/22 新潟県村上市 スケートパーク No.2
- 2018/07/26
- 11:16
Your name
歩夢side
「あーくん、なの……?」
一瞬、がどういう意図で言っているのかわからなかった。その呼び方で呼ばれるのは、ちょっと気恥しい年齢になってしまっているけれど、俺が「あーくん」なのかそうじゃないのかと問われれば、間違いなく俺は「あーくん」だ。
そう思った瞬間、じっと俺を見つめるの双眸と、「あーくん」と呼んだ声音に、胸の奥底からノスタルジックな感情が沸き起こってきた。
目の前にいるのは、俺と最近出会ったばかりの20歳の。ーーしかし。
俺をその呼び方で、その声で呼ぶのは。と知り合う遥か前に出会った、すでに記憶の片隅に追いやられてしまったような、1人の幼い少女。
「……?」
俺はその少女の呼び名を口に出す。その瞬間、眼前のと……の姿が、ぴったりとリンクする。
ーー本か何かで読んだことがある。人の記憶というものは、1度刻まれたら決して忘れることはない。思い出せないという現象は、その記憶をしまった引き出しの在処を、見つけられないだけだということを。
忘れかけていた、10年以上前の記憶。ーーたった1ヶ月足らずだったが、と過ごした大切な時間。
俺はそのすべてが封印されている記憶の引き出しを、たった今見つけ出し、ゆっくりと開けたのだった。
いただけると感激です→