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ドレスアップ No.4

 

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「来夢くん!? 大丈夫なの!?」

「……天使は実在したのだ……神よ……」

來夢を心配すると、昇天しそうな來夢を見て、俺は苦笑を浮かべた。





ステージで受賞した優秀選手賞の挨拶をしている間。フロアにいるが、男性に声をかけられて、きょとんとしている顔をしているのが見えた。

來夢には、俺が席を外している間を守っておけと言っておいたのだが。の傍らに立つ來夢は、本日の美しきにノックアウトされ、口から魂が出たまま突っ立っているだけなので全く役に立っていない。

ーー全く、油断も隙もない。

で自分の美貌を全く理解していないので、隙だらけだから困る。

優秀選手賞の受賞が終わり、俺は壇上から降りると、真っ先にの方へと急いで向かった。

「いやー、君みたいに綺麗な人、見たことないっすよー。後で連絡先交換しない?」

「……はぁ……」

SNOW AWARDにはスキーやスノーボードの選手の他、選手の関係者やスポンサー企業の社員など、様々な人間が招待されている。に声をかけているのは、にやついた俺の知らない25歳前後の男だった。

あ、ちなみにの隣にさっきまで立っていた來夢は、生気つきたらしく座り込んで「ちゃん……うへへ……」なんて言っている。

はそんな男の言葉がお世辞だとでも思っているようで、困った顔で笑いながら曖昧な返事をしていた。持ち前の天然っぷりで何とかかわしていたようだった。

俺はと男の間に強引に割り込み。無表情で男を見据えた。

「歩夢くん……?」

「すいません、この子俺の連れなんで」

背後から聞こえたの声には答えず、男にはっきりときっぱりと強く言う。彼は俺を見て、にやけていた笑みを引き攣らせると、俺を一瞬睨んだ。

「なんなんだ、あんた…………。……! 平野、歩夢…………!?」

しかし、俺の素性に気づくと、瞬時に作り笑いを浮かべた。

「は、はは。平野さんのお連れの方でしたか。すいません。そ、それでは」

そしてそそくさと踵を返し、その場から立ち去る。

ーーふう、これでよし。

にちょっかいをかけようとする男はたくさんいたが、さすがに今日の主役の1人である俺の連れと知ると、みんな素直に退散してくれた。

「ありがとー、歩夢くん。あの人しつこくて」

再び背後から声が聞こえ、俺は振り返る。するとがいつもの快活そうな微笑みを浮かべていた。

ドレスアップのおかげで、それも気品のある微笑にしか見えなかったけれど。

「ふーん、そっか」

「なんか今日はやたらいろいろ来るんだよね。パーティーだからかな?」

「…………さあ」

やはり全く自覚のないに俺は苦笑を浮かべる。ーーすると。

「平野くん、ちょっといいかな?」

大会の度に取材を申し込んでくる、俺も懇意にしているメディアの関係者の男性が、話しかけてきた。俺は笑みを浮かべ、彼の取材を受ける。

パーティーの華やかな雰囲気だからか、いつもより彼は饒舌で、質問の数も多かった。不快な質問ではなかったので、俺も丁寧に答える。

「ーーありがとう、平野くん。またね」

取材を終え彼が去り、俺はふう、と一息つく。そして傍らにいたはずのに「喉乾いたから飲み物もらってくる」と、言おうと口を開こうとした。

ーーしかし。

……?」

取材の前はすぐそばにいたのに、いつの間にやらの姿がなくなっている。慌てて辺りを見渡すが、やはりその姿はない。

どこへ行った? トイレか? ーーそれとも。

誰かに連れていかれた?

嫌な想像がよぎり、俺は早足で会場中を歩き回る。10分ほどの間を捜索したが、発見できず。時間的に、トイレにしても長すぎる。

ーーどこいったんだよ、

俺はその美しく愛しい姿を探しに、会場の外へ出た。







またまた次回に続きます。正装って肩凝りますよね。私も疲れるから嫌いです(笑)。
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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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