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1/24,コロラド州 アスペン コテージ no2

 

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「あー!ちゃん!おはよーー! 遅かったじゃーん!」

「へっ……? げ、もう9時!? わ、朝ごはんもできてるし! ごめん! 寝坊!」

「いいんだよー! いつもありがとねー」

それはいつも通りのに見えた。來夢と友基と機嫌の良さそうに会話する。

だけど、俺はの顔を見て1人眉をひそめる。

「じゃあお言葉に甘えて今日は食べる専門で」

ダイニングテーブルの椅子に腰掛ける。俺はそれに向かい合わせになるように椅子に座った。

「……

「んー?」

「なんかあったでしょ」

俺はを見つめて言う。は驚いたように俺を見返した。

「え、え、な、なんでっ!?」

どぎまぎと慌て出す。どうやら図星のようだった。本当にわかりやすい子だ。

「顔色がちょっと悪いよ。目の下にクマもあるし。ーーそれに」

俺はの首筋を一瞥して、こう続けた。

「いつも持ち歩いてる、カメラはどうしたの」

「あ……」

俯いて、しばらく黙り込む。やっぱり何かあったのだ。

「……ねえ、歩夢ってこんなに観察力あったっけー?」

「ボードやってる時以外割とぼーっとしてるけどなあ」

俺の後ろに立っていた來夢と友基のそんな会話が聞こえてくる。

ーーうるさいなあ。のことはなんだか気になるんだ。

もちろん雇用主として、だが。からかいがいがあって面白いし、客観的に見てかわいいとは思うけど、他意はない。

「ーーあのね、歩夢くんたちにはどうでもいいことだとは思うんだけど」

「……なに?」

おずおずと話し始める。少し弱っている彼女の、上目遣い。

普段天真爛漫で元気そうにしてるもんだから、その姿は妙なギャップがあって、俺の中で変な感情が湧き上がってきそうになる。

そしては、恐る恐る言葉を続けた。

「……バッテリーが」

「バッテリー……?」

「カメラのバッテリー……充電切れちゃったんだ」

この世の終わりとも思える声で言う。ーーって、はい?

「充電器は荷物と一緒に無くしちゃったし、しばらく写真撮れないんだよね……」

そういえば、フォトグラファーのは常にごつい一眼レフカメラを持ち歩き、目に付いたあらゆるものを写真に収めていた。

俺がハーフパイプで練習している姿も撮影してくれて、青空をバックにクリップラージャパンを決めた瞬間の写真は、我ながらに美しいと思った。

「なんだー。別にそんなにへこまんでも」

心配していたらしいが、真実を知って脱力したらしい來夢の言葉に、は口を尖らせる。


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Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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