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1/20,コロラド州 アスペン空港 no2

 

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   ……まずい。非常にまずい。

  何がまずいのかって、ぶっちゃけお金が無い。

 しがないフォトグラファーの私は、雪山の絶景を撮りにはるばる日本からここアメリカのコロラドにやってきた。

 良い写真が撮れたし満足だったんだけど、まだカメラマンとしては単価の安い私の写真だから、ついでに現地で撮影のバイトをしたのだった。

 幼い頃から海外には慣れていたため、数カ国の日常会話を嗜む私は、よくこうやってバイトをしていたのだ。……だけど。

 夜のパーティーの撮影の仕事中に、隅っこで依頼人のおっさんにセクハラされたから悲鳴をあげたら、追い出されちゃった☆

 依頼人のおっさんがすごーくお偉いさんだったらしく、恥をかかせた私はカメラだけ持ってその場を逃げるしかなかった。

 何せ怖かったし、一刻も早く日本に帰りたかったしね。

 で、ポケットに入っていた小銭を使い、なんとか空港までたどり着いたのはいいのだけど。

 財布もパスポートと着替えやら生活用品が入ったスーツケースも、全部パーティー会場に置いてきてるやんか、私。

 バカなのか? ひょっとして。いや、ひょっとしなくてもバカか?

 もちろん、今さらパーティー会場に戻ることなんてできるはずはない。

 紛失したってことで警察に届けて大使館で手続きをするしかない。

 しかしなんだか疲れてしまった。現在、私は空港のロビーのソファに座り込んでいた。旅行なのか、楽しそうにしている家族連れや出張らしきビジネスマンを遠目で見ながら。

 本当に疲労困憊だ。もうちょっとぼーっとしたら今後のことは考えよう。

『 はぁ…』

 ……ん?

  大きく深く嘆息すると、その溜め息に声が重なった気がした。

 低いけれど、どこか色気のある魅力的な男性の声。少年から青年に変わる微妙な年齢の頃の、儚い時期の声音。

 私は声のした方…自分の右隣に顔を向けた。


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Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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