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3/10 コロラド州 ベイルリゾート ハーフパイプ会場

 

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歩夢side

2本目のRUNの直前、俺は右耳に触れる。

がつけてくれた、のゴールドのフープピアスを。

ーーお守りだよ。

そう言って曇のない瞳で微笑むを思い起こしながら。

ーーどんなにご利益のある神社のお守りでも、俺にとってこのピアスにまさるパワーを持っているものなど、存在しないだろう。

は確かに、今俺のそばに居る。間違いなく、気配を感じられる。近くに実体は無いかもしれないけれど、の精神は、確かに俺の右耳付近に存在している。

それどころか、俺は今彼女と一心同体になっている気さえした。ーー普段俺がしているはずのシルバーのフープピアスを、が現在つけていると思うと。

一本目のRUNは、ちょっとタイミングが合わず転倒してしまった。しかし、あれほど感じていた左側の壁への畏怖の念は、一体どこへ飛んでいってしまったのか。

ーー怖さはもう、まったく感じなかった。の存在が、俺にそんなことを考える隙間すら与えてくれない。

今の時点でのトップはーーよりにもよって、來夢。ダブルコーク1260を、ダブルクラブで見事に決めてきた。

來夢は調子さえよければ、俺を凌駕するRUNをすることなんてそんなに珍しくはない。

だけど、この場で俺を追い込んでくるのがまさか來夢だとはな。

冗談抜きで、左側の壁でのバックサイドダブルコーク1260を決めないと、優勝はありえない状況になってしまった。

ーーだけど、大丈夫だ。もうここに魔物はいない。そいつは、があの親しげな笑みで誘い出し、どこか遠くへ連れ出してしまったから。

今一度右耳に触れてから、俺はグローブをはめる。

ーー行ってくるよ、

俺はボードを滑らせ、因縁のパイプへとドロップインした。


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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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