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3/9 コロラド州 ベイルリゾート コテージ No.4

 

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歩夢side

【 from
樹里ちゃんとどうしても話したいことあるからちょっと隣のコテージ行ってくる
女同士の話だから歩夢くんは来ないでね!】


なんていうからのメッセージが、リビングでストレッチをしている俺のスマホに届いたのは、午後5時過ぎ。

まあ、別にが樹里のコテージに行って、ガールズトークをするのは別に構わない。

しかし、先程俺からの強い拒絶を受けて、泣き崩れた樹里。その樹里とが、何を話しているのだろう。

しかも俺が樹里を突き放した理由はそのだというのに。樹里にとってのは、今あまり会いたくない相手ーーともすれば、憎悪や嫌悪すら抱いていてもおかしくない人物だというのに。

「あれー、はどこ行ったの? にーちゃん」

スマホを見ながら俺がそんなことを考えていると、海祝が俺の傍らにやってきた。

「ん、樹里んとこ」

俺がそう答えると、海祝は驚いたようで目を見開いた。

「え!? だってさっきちゃん悩んでたよ。樹里に嫌われたくさいって。仲直りしたのかな?」

「……さあ」

俺だって聞きたい。にピアスを買った帰りに、ばったり会った樹里は、恋敵のに対して突き放すようなことを言っていた。

本当に、そんな2人が何をしているのだろう。

が樹里から嫌われたのかもしれないのってさー、にーちゃんが樹里になんか言ったからなんでしょー?」

股関節のストレッチをしている俺の横で胡座をかき、からかうように聞いてくる海祝。適当に濁そうかと思ったけれど、鋭いこいつのことなので誤魔化すとかえってあとで面倒なことになりそうだ。

「ーーたぶんね」

「やっぱりね。なんて言ったの」

「いや、樹里とはもう付き合えないって言っただけだよ」

「ーーが好きだからって? 俺が好きなのはだけだから、って?」

ちょっとにやつきながら聞いてくる。俺は大げさにため息をつく。

「……そうだよ」

すると海祝は、片眉だけぴくっと震わせて、興味深そうな、感心したような顔をした。

「ーーやるじゃんにーちゃん」

「そりゃどうも」

「樹里はなんて?」

「ーー泣かれた。あとは馬鹿とか大嫌いとか」

「あー……」

海祝はあちゃー、とでも言うように、頭を抱えた。

「にーちゃんのために生きてきてたからなあ、樹里。……でも仕方ないね」

「ーーうん」

「だけどさあ、にーちゃん」

「ん?」

「そんな風にはっきり言えればいいのに。ーー本人にさ。好きだって」

ちょっと呆れたようにそう言うと、海祝は立ち上がって歩き出し、友基や來夢やらが座っているソファに座った。「樹里んとこだってー」「何!?俺も行く!」「明日ファイナルなんだから大人しくしときなよ來夢は」……なーんていう、3人の会話が聞こえてくる。

ーーにも、か。

樹里のなりふり構わずぶつかってくる様子を見て、俺はへの想いの抱き方に後ろめたいものを感じるようになってきた。

樹里の気持ちを拒絶した上でへの恋心を貫いた俺。このまま現状維持をするのは、樹里にも失礼な気がする。

いくら離れていくかもしれないのが怖いからと言って、この募る深い想いを心の奥底に閉じ込めたままでいいのかと。

ーーUSオープンが無事に終わったら。

Xゲームの前から始まった自分の気持ちに、いよいよ決着を付けようか。


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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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