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3/9 コロラド州 ベイルリゾート コテージ No.3

 

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ーーちょっと疲労が溜まっているのかもしれない。

時刻は午後5時過ぎ。コテージの窓からは、西日が差していて、電気をつけていない室内は少し暗かった。

私は自分の部屋で、写真の補正やら整理をしていて、そろそろ夕食の支度でもしようと座っていたベットから立ち上がった。

「……っ……」

すると一瞬立ちくらみがし、私はよろけた身体を踏ん張って支えた。

朝から少しだるかったのだが、夕方になって軽い頭痛を感じだし、立ち上がりざまに今のように少しふらつく時があった。

昨日のことが気になってあまり寝られなかったせいもあるだろう。まあ樹里ちゃんのことは考えてもしょうがないし、明日はファイナルだし、今日は早めに床につこう。

だけど、歩夢くんの様子が気になって、今日もすんなり眠りにつける自信がなかった。少し前に練習を終え、1人でコテージに戻ってきた歩夢くん。

結局バックサイドダブルコーク1260は、今日の練習では決めることはできなかったらしい。

そのことを本人から告げられて、私は顔に不安が現してしまったしい。歩夢くんは私の頭をぽんぽんと触ると、

「明日は必ず成功させるから、大丈夫」

と、いつものように不敵に笑ったのだ。まるで私の不安をぬぐい去るかのように。

1番不安なのは歩夢くんなのに、私が元気づけられてどうすんだ全く。……だめだだめだ。歩夢くんは必ずきれいに空を飛ぶはずだ。

マネージャーの私が彼を信じなければ。よし、今日はぐっすり寝てやるぞ。

……なーんてことを、自分の部屋からリビングへと向かう廊下を歩きながら考えていると。

「ん……?」

窓から見える景色の中で、小さい人影が動いた気がしたので、私は目を凝らす。このコテージの周辺は似たようなコテージがいくつかある以外は、ほぼ雪原に覆われていた。

窓の外は常に真っ白な雪景色だったので、人がいたのが妙に気になったのだ。

そして雪の中で動いている人物を私は認める。ーーその人物とは。

「樹里ちゃん……?」

樹里ちゃんは私たちのコテージから少し離れた何も無い雪原の上を、1人うろうろしていた。

辺りをきょろきょろ見回したかと思えば、しゃがんで雪を手で掘り起こすような動作もしていて、とても妙だった。

しかも彼女の表情からはどこか切羽詰まっているような、必死なような感情が読み取れて。

ーー何かあったのだろうか。もしそうなら、力を貸した方がいいのかもしれない。

リビングでストレッチやら筋トレやらをしているであろう歩夢くん達に状況を説明しようと思ったが、歩夢くんや來夢くんは明日ファイナルを控えている。少しでも精神を乱すような話はしたくない。

一緒にいるであろう海祝くんや英樹さんにだけ説明するのは難しそうだし……。

そう思った私は、廊下を忍び足で歩き、こっそりとコテージを出て樹里ちゃんの方へと向かった。


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Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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