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3/8 コロラド州 ベイルリゾート ベイルビレッジ No.1

 

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「じゃあやっぱりこれがいいんじゃない?」

「うーん、そうだね」

何軒かショップを回って、いろいろなブランドのいろいろな形のピアスを、2人で吟味して。

最終的に、私たち2人が選んだのは、ゴールドのフープピアス。元々持っていたものと似ているけれど、以前よりも直径が大きめだ。

「1回付けてみたら? 試着okみたいだよ」

そういえば、ピアスは普通衛生上の問題で試着NGな店も多いけど、高級店はきちんと消毒するから、試着可能な店も多いんだっけ。

「じゃあお願いしようかな」

私は近くにいた、きっちりとしたスーツを着た店員を呼ぶ。するとにこやかに微笑み、私たちの傍らに寄ってきた。

「May I try on earrings?(ピアスの試着いいですか?)」

「Sure.(もちろんです)」

私が試着したいピアスを指し示すと、店員はケースから出してアクセサリートレイの上に乗せてくれた。

ーーすると。

私がそのピアスを手に取る前に、歩夢くんが先に取る。え、と戸惑っていると。

、耳出して」

「ーーえ。自分で付け……」

「ほら、早く」

じっと綺麗な瞳を私に向けながら、歩夢くんが言う。歩夢くんに真っ直ぐ見つめられると、私は逆らう気が失せてしまう。

私は少しおどおどしながら、耳にかかっていた髪を耳にかける。

「絶対似合うわ」

言いながら、歩夢くんが目と鼻の先に近寄り、私の耳を触る。くすぐったくて身震いしそうになったが、頑張って堪えた。

いや、くすぐったいだけじゃない。普通はあまり人に触らせないところを、歩夢くんが触れてきて。心臓の音が目の前の歩夢くんに聞こえてしまうのではないか、と心底不安になった。

「ほら、やっぱり」

歩夢くんが近くにあった鏡を目配せする。鏡の中の私は、歩夢くんによって付けられたピアスがきらりと輝いていた。

「ーーあ。いいね」

なくした物より少し大ぶりだが、こっちの方がしっくり来る気さえ気がした。まるで私の体の一部であるかのように、そのピアスは私に馴染んでいた。

「じゃ、これで決まりだね」

優しく微笑む歩夢くんの耳には、シルバーのフープピアス。ーーよく見ると、私がつけているものと、同じくらいの直径だ。

なんだかこれって、色違いでお揃いみたい。ーーこれじゃ、まるで。

「You look good on your girlfriend.(彼女さんによく似合ってますよ)」

ショップの店員がにこやかに歩夢くんに言った言葉に、私はドキリとする。ーーだって。

これじゃまるで、恋人同士みたい。

そう思った、直後だったから。

「Well, I will buy this.(じゃ、これ下さい)」

店員さんの言葉を特に気に止めた様子もなく、歩夢くんがさらりと言う。聞き取れているのか、いないのか。ーー歩夢くんのヒアリング力なら、恐らく理解しているのだろうけど。

その自然な様子が、ますます「彼女をにプレゼントを買いに来た彼氏」の姿に思えて。

歩夢くんに触れられた耳たぶが、やけに熱く感じた。


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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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