記事一覧

3/7 コロラド州 ベイルリゾート ベイルビレッジ No.2

 

Your name






「――Scotty! Sorry! Looking at the baggage for a while.(ーースコッティ! ごめん! ちょっと荷物見てて!)」

「Huh?(えっ?)」

私は勢いよくベンチから立ち上がると、樹里ちゃんの元へと全速力で駆け寄った。

「Okay, go out together a little.(いいじゃん、ちょっと一緒に付き合ってよ)」

「I saw a beautiful girl like you for the first time.(君みたいな綺麗な子初めて見たよ)」

近づくと、案の定樹里ちゃんに言いよる地元民らしき男性二人。対する樹里ちゃんはというと。

「あ、えーと、No、Thank you……えーと、もっと強く断るのはなんて言うんだっけ……?」

英語で自分の意思をうまく表現出来てないようだった。やはり、思った通りの状況。

私は私の存在に気づいていない樹里ちゃんの背後から近づき、彼女の方を叩きながらこう言った。

「Juri, did you wait?(樹里ちゃん、待ったー?)」

「え……? ちゃん……?」

いきなりの私の登場に驚き戸惑う樹里ちゃん。

「……どうにかして逃げよう」

私はそんな彼女に囁く。すると樹里ちゃんはじっと私を見た後、すがるような目を向けて頷いた。

「Sorry it is getting late. Alright, let's go.(ごめんね遅くなって。さ、行こう)」

「Wait a moment.(えー、ちょっと待ってよー)」

樹里ちゃんの手を取って引っ張り、その場をそそくさと去ろうとする私に、男の1人が非難の声を上げる。

「Sorry, she promised me.(ごめんなさい、この子は私と約束してるんで)」

「What?(えー?)」

私が微笑んでそう言うと、彼は残念そうな顔をした。ーーよし、行けそうだ。

と、思ったのも束の間だった。

「Well, you too are pretty cute. It is high at the Japanese level.(ってか君もすごく可愛いじゃん。日本人レベル高いねー)」

もう1人が近寄ってきて、私の顔を見下ろしてニヤつきながら言った。

「Ah, indeed.(あー、確かに)」

「Well then, let's play together with 4 people, from now.(それじゃー、4人で一緒に遊ぼうよ、これから)」

「えっ……いや、その……」

予想外の自体に困惑する私。樹里ちゃんにしか目がないかと思いきや。こいつらどれだけ節操ないんだ。

ちゃん、なんて言ってるの? この人達」

樹里ちゃんが不安そうに、戸惑っている私を眺める。

「ちょ、ちょっと待ってね」

私は焦りながら思考を巡らせる。ダッシュで逃亡するのも一つの手だが、狭い街だし、また鉢合わせたら困る。なるべく穏便に事を済ませたい。

だけど、どうしよう。角を立てずにスマートに断る方法……。考えあぐねる私。

ーーすると。

ー、what are you doing? ,you're late.(ー、何してんの? 遅いよ)」

「えっ……?」

後方から聞こえてきた、聞き覚えのある声。いつの間にやら、スコッティが私たちの近くまで来ていた。私が買い物した物を軽々と持ちながら。

「Let's go by three people.(さ、3人で行くよ)」

スコッティは眼前の男の存在など無いかのように、男達と私たち二人の間に入り込んで言う。

「――What. You guys with a man.(ーーなんだ、男連れかよ)」

「Boring. Let's go.(つまんね。行こうぜ)」

長身のスコッティの後ろで、男達から臍を噛むような声が聞こえた。そして長身美形のオーストラリア人の登場によって、すんなりと諦めたらしい彼らは、足早に去って行った。

「……助かったあ。怖かった〜」

樹里ちゃんは涙ぐむと、危機が去ったことで緊張の糸が切れたのか、その場にしゃがみこむ。

「Thank you, Scotty.(ありがとうスコッティ)」

「……あ。Thank you.」

私と樹里ちゃんがお礼を言うと、傍らでスコッティ「No problem.(いえいえ)」と不敵に言う。

すると樹里ちゃんが立ち上がり、私にそっと耳打ちした。

「この人、オリンピックで銅メダル取った人だよね」

「うん、スコッティ・ジェームズだよ」

「やっぱり。ーーかっこいいよね。あ、歩夢が一番だけどさ」

「……そうだね」

1番かどうかはさておき、歩夢くんの方がかっこいいのは私も認める。スコッティもかっこいいけれど。


いただけると感激です→ web拍手 by FC2

前のお話   次のお話

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

名前変換

 

Your name