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3/6 コロラド州 ベイルリゾート コテージ No.1

 

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昨日樹里ちゃんと仲良く話してから、なんとなく私は歩夢くんを避け気味になっていた。

こんな可愛い子とどうして別れちゃったんだろうとか、歩夢くんは今樹里ちゃんのことをどう思っているんだろうとか、歩夢くんを見る度にいろいろ考えてしまって。

そして歩夢くんと樹里ちゃんがよりを戻す姿を想像してしまうと、何故か私の心臓は痛くなって。ーー何かの病気じゃないかと思えるくらい、具合が悪くなってしまって。

その理由を自分の中で追求するのが嫌でたまらなくて。でも歩夢くんの顔を見る度にどうしても考えそうになってしまうから。

私は歩夢くんの姿が視界に入りそうになると、わざとその時やらなくてもいけない用事を行おうとしたり、来夢くんや英樹さんと話したりして、彼から文字通り逃げていた。

ーーそんな日の、夜。





洗濯したみんなの衣類が乾いたので、畳んでそれぞれのコテージの個室に運ぶ途中だった私。

みんな自分でやろうとしていたけど、少しでも競技に集中して欲しかったので、私はみんなの身の回りのことはできるだけやってあげていたのだ。

来夢くん、友基くん、英樹さん、海祝くんの服を運び終えてーー残るは歩夢くん。鉢合わせるのが嫌で最後まで残していた。

リビングに他のみんなはいたけど、歩夢くんはいなかったんだよなあ。ってことは部屋にいるってことだよな……。あ、もしかしたらお風呂かな? だったらいいんだけどな。

なんて考えながら恐る恐る歩夢くんの部屋のドアをノックする。しかししばらく待っても応答はない。

お。よかった、いないんだ。ーーと、思って、両手いっぱいに持っていた洗濯物を、顎とお腹を使って抱えながら、私は片手で器用に彼の部屋のドアを開けて中に入る。

ーーすると。

私がスイッチを入れる前に、部屋の照明が点灯した。驚いて振り返ると。

「あ……歩夢くん」

ちょうど入浴をし終えて戻ってきたらしい歩夢くんが、私の後ろに立っていた。

「洗濯物持ってきてくれたの?

「う、うん」

「ありがとう」

私は洗濯物を置く場所を探すふりをして、彼の顔は見ずに返答した。

「べ、ベットの上に置いとくね」

そして私がベッドの近くまで歩もうとした……その時だった。

「ーーねえ」

部屋のドアを後ろ手に閉めた歩夢くんが歩み寄り、私の前に立ち塞がる。私は一瞬たじろぐが、彼をすり抜けようとした。でも彼はそんな私を逃がさないように詰め寄ってきた。

私は洗濯物を持ちながら後ずさる。そして背中に壁が当たってしまい、それ以上は後退出来なくなってしまった。

「な、何?」

「ーーなんかさ、

歩夢くんはより一層私に近づいて、私の顔のすぐ横の壁に手を置いた。そして私の顔を覗き込む。

私は洗濯物を持っているのと、背中に壁か当たっているのとで、ほとんど身動きが取れない。

「昨日から俺のこと避けてない?」

壁ドンされながら至近距離で見つめられ。歩夢くんはいつもちょっといい匂いがするんだけど、お風呂上がりだからその匂いがさらに強く鼻腔をかすめて。

私は自分の心臓がこれ以上早く鼓動しないように、横を向いて反射的に歩夢くんから顔を逸らした。

「さ、避けてないです」

「嘘だね。わかりやすいし」

「さ、さ、避けてない、ってば!」

「ーーじゃあこっち見ろよ」

歩夢くんが声をワントーン落として言う。その声音にはいつもより色気が加算されていて、私はぞくりと身を震わせた。

これ以上顔を逸らし続けたら、その方が後が怖い気がしたので、私は恐る恐る首をぎこちなく動かし、正面を向く。

「ーーやっと捕まえた」

そう言った歩夢くんの目はひどく先鋭で、捕らえた獲物を楽しんで弄ぶような、支配するような視線で。

私は本当に捕まえられてしまったような感覚になってしまった。


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泰人

Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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