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3/4 コロラド州 ベイルリゾート スーパーマーケット No.1

 

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「何買う?」

「豚肉とシーフードとチーズは鉄板だよね〜」

「あ、もうその辺だけで充分じゃない?」

「えー、明太子とかお餅も美味しいよ」

「お好み焼き屋行くとにそういうメニュー多いね」

「あとポテトチップス入れると意外とおいしいよ〜」

「……マジで?」

そんな会話を歩夢くんと繰り広げながら、コテージ最寄りのスーパーでショッピングカートを押す私。

デンバー国際空港から私達が宿泊するコテージに着くと、英樹さんと海祝くんが「夜ご飯はお好み焼きにしたい」と言い出した。

アメリカのスーパーで材料が揃うのだろうか?と私は不安になったが、英樹さんがお好み焼き粉とお好みソースを持参していたので、具だけなら売ってるんじゃない?という一同の意見によりー―。

買い出しじゃんけんをした結果、負けた私と歩夢くんが具材を揃えにスーパーに赴いたのだった。

買い出しじゃんけんの後、なぜか來夢くんが「俺も行く!」と言い、友基くんと海祝くんにすごい勢いで止められるという1幕もあったけれど。荷物多くなりそうだから、ついてきてくれてもよかったのに。

「明太子はここのスーパーにはないかもね……お餅も美味しいんだけどなあ」

シーフードミックスや豚バラ肉、飲み物など、揃えられるものをカートに入れてから、私は陳列棚をきょろきょろ見渡しながら言う。

「うーん、その辺は確かにね……店員に聞いてみる?」

「そうだね。あ、ちょうど店員さんいるね」

すぐ近くに商品の陳列作業をしている初老の女性がいたので、私は尋ねる。

「――Excuse me.Do you have rice cake with Mentaiko?(ーーすいません。明太子とお餅ありますか?)」

すると店員の女性は困った顔をする。

「Sorry, this place is small so I have not put anything like that. I think that I have put aside a bigger supermarket.(ごめんね、ここは小さいからそういうのは置いてないの。もうちょっとおっきいところなら置いてると思うんだけど)」

「Ah, that's right. Thank you very much.(あー、そうなんですか。ありがとうございます)」

「I am sorry, cute newlyweds.(ごめんなさいね、可愛い新婚さん)」

「…………え……!?」

女性の言葉に驚く私だったが、彼女はすぐに私から目を逸らして作業に戻ってしまった。

し、新婚さんだなんて。でも確かにこうやって2人であーだこーだ言いながら夕飯の材料の買い物をするって……すごく新婚ぽいような。

歩夢くんと、新婚……。

新婚という言葉に、世間の一般的な新婚さんのイメージを、歩夢くんと私で当てはめてしまい、私はその場でどきまぎしてしまった。

ーーすると。

「ねえ、

少し下を向いてしまった私の顔を、歩夢くんが覗き込んでくる。

「今の人なんて言ったの?」

私の瞳をじっと見つめ、楽しげに問う。こ、これは。

絶対分かってるでしょ意味。

「し、知らない!」

また歩夢くんの手の平の上でおちょくられると思ったので、私はぷいっと横を向く。

すると歩夢くんはいまだに余裕のある笑みを浮かべながら、こう言った。

「えー、ダメでしょ、

「な、何が!?」

「通訳の仕事、ちゃんとしないと」

「な……」

ーーずるい。そう、私は歩夢くんの通訳兼マネージャーなのだ。れっきとした契約書を交わし、賃金だって労働に見合った対価以上のものを頂いている。

雇用主に与えられたタスクはきちんとこなさければならないのだ。

「め、明太子とお餅はないって」

「ふーん、そっか。……で、そのあとは?」

「…………」

だから絶対ヒアリング出来てるでしょこの人。

「ごめんなさいね、新婚さん……だ、そう、です…………」

言ってる間に恥ずかしい気持ちが高まり、最後の方は消え入りそうな声で言う。


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Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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