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2/14 平昌 選手村 (裏)No.2

 

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※注意
2/14のNo.2なのですが、先にこのページの話を書いたんですけど、読み返したら「決勝直前にいちゃつきすぎじゃね? こいつら」と思ったので、ボツにして本来のNo.2の話に書き直しました。
でもまあせっかく書いたので「裏No.2」としてここにアップしときます。裏っつってもエロではないです(笑)。
本来のストーリーから逸れた「歩夢くんが決勝前にも関わらずすごくいちゃつきたかった場合のパラレル」として、お暇な方はお読みください(笑)。
No.1でいったん場面が変わってこの裏No.2に続いたんだなーという流れで読むとわかりやすいかと思います。




side

朝食をすませた私と歩夢くんは、食堂から自分たちの部屋まで一緒に戻った。決勝戦は午前中に開始なので、部屋で準備をしたらすぐに会場へ出発だ。

しかし部屋の前に辿り着くと、何故か歩夢くんはすぐに自分の部屋に入らず、私の部屋の扉の前に私と一緒に立った。

「どうしたの? 歩夢くん」

「ーーねえ、

歩夢くんは少し首をかしげて、不思議がる私をじっと見た。ーーそしてそんな彼が紡ぎだした声は、低く甘い。

私は思わず身構える。この顔でこういう声を出す時の歩夢くんはーーまずいのだ。

「な、何……?」

「充電したい」

戸惑う私の瞳をまっすぐ見据えて、彼ははっきりと淀みなく言った。

「ーーな」

を抱くと、落ち着くんだよね。俺」

怯む私のことなんて気にもとめず、彼は私の顔を迫るように覗き込んだ。

ーーずるい。そんなこと、こんなタイミングで言われたら。

「……こ、ここだと誰かに見られるから」

「え?」

「私の、部屋で……」

なんだか自分から誘っているみたいで恥ずかしくなり、私は消え入りそうな小さな声でそう言った。

ーー競技前にそんなことを求められたら、断れるわけない。私は心から彼に勝ってほしいのだから。少しでも彼の気が休まるなら、私は大抵のことは許してしまうだろう。

歩夢くんは、そう言った私を真顔でじっと見つめていた。相変わらず、澄んだ茶褐色の瞳には、有無を言えずに惹き付けられてしまう。

恥ずかしくて俯きながらも、私は自分の部屋の扉を開ける。ーーすると。

「ーー!」

歩夢くんはその途端、私の手首を掴み素早く部屋に連れ込んだ。そして私に何か言う隙を与えずーー正面からきつく抱きしめた。

「……

そして歩夢くんは私の身体を確かめるように抱きしめながら、耳元で私の名を呼ぶ。

その抱擁が、前に抱きつかれた時よりも熱くて扇情的で。私は声を上げることができなかった。

ーーしかし。

「いたっ……」

歩夢くんがあまりにもきつく私を抱きしめ始めたので、私は思わず声を上げてしまった。その力強さは、まるで私の存在を確認しているような、私と自分をくっつけてしまいたいようなーーそんな印象を受けた。

「ーーごめん」

すると歩夢くんは、やっとその腕から私を解放する。私は力が抜けてへたりこんでしまった。

いつの間にか何故か少し泣きそうになっていた私は、潤んだ瞳で歩夢くんを見上げる。

「ーーその顔、ヤバい」

すると歩夢くんは、私の視線に合わせるようにしゃがみこんでーー私の顎に手をかけた。私は石化したように、身動きが取れない。

「キスしたい」

予測していたけど、そう言われてしまう。しかし私はここでやっと声を絞り出した。

「キ、キスはもう、しないって……!」

なんて言っても、歩夢くんはしてくるんだろう。私は半ば諦めつつ、そう思っていた。

しかし歩夢くんは意外なことに、私の顎にかけていた手を離し、立ち上がった。

「残念」

そしておかしそうに笑って、彼はいたずらに失敗した子供のように無邪気に言う。

ーーあれ、してこないんだ。

そこで私は、どこか残念なような、期待を裏切られたような、そんな感情が自分に芽生えたことに気づいた。だけど心の中で必死に首をふり、それを無かったことにする。

こ、こんなよくわからない関係でキスなんて、ダメだから!

しかし私は、そのまま部屋を知ろうとする歩夢くんの背中が、妙に名残惜しくて。ーー自分でも信じられないけど、気づいたらこんなことを口走っていた。

「ゆ、優勝したら!」

「ーーえ?」

「今日優勝したら……いいよ」

振り返って私の方を見る歩夢くんに、私は恥ずかしくて下方に視線を落としながら言った。

ーーあれ、私何言ってんだ。なんで、こんなこと……。

自分で言ったことに混乱する私。本当に何を言っているんだ。自分からキスをしようと私が言うなんて。

下を向いていた私は恐る恐る歩夢くんの顔を見る。すると彼は、私をじっと見て、ちょっと妖しく、だけど優しげに笑みを浮かべていた。

「楽しみ」

そして歩夢くんはそれだけ言うと、私の部屋から出ていってしまった。

歩夢くんが出て行ってから数瞬後、私は我に返りその場に座り込んだ。

ーーうわわ。本当に何言っちゃってんの私。自分がこんなことを言ってしまうなんて。

なんか、段々歩夢くんとそういうことするのにハードルが低くなっているような。

だけど、歩夢くんにまっすぐ見つめられ、あんな風に色気のある微笑みを向けられてしまうと、私はどうしても逆らえなくなってしまう。

だけど、私にこんなことを言わせたのだから。こんな約束をさせたのだから。

「ーー勝つよね」

私は歩夢くんに抱きしめられた温もりを思い出しながら、ぼそりとそう呟いたのだ。


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Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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