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1/20,コロラド州 アスペン コテージ no.5

 

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「なんか滲み出てるじゃん!? 生き生きとしてるって言うか、オーラというか雰囲気と言うか…。とにかく顔だけじゃないんだ! 顔もかわいいけど! あのオーラが出てる顔が好きなんだ!」

「……はぁ」

 呆れたように取り繕う俺だけど、来夢の言ってることはわかる。

  からは、何か特別な気配を感じる。海外を飛び回っていて、この年でフリーで仕事をしているからかもしれない。

 真っ直ぐさ、芯の強さ、ブレなさ。それらが深く刻まれている大きな瞳。あの目を向けられると、どうしても惹き込まれてしまう。

 まだ出会って半日足らずなのに、俺にそう思わさせてしまう。来夢も同じように感じたのだろう。

「……まあ、それは置いといて」

「置いとくな! 俺は真剣…」

「俺はスタッフとしてを雇ったんだよね。そういうごたごたはこの時期にはやめてくれよ」

「う…」

 遮るように言う俺にの言葉に、口ごもる来夢。まだシーズン中だし、ましてや今年はオリンピックイヤーだ。俺たちにとって4年は長い。

 たった1分足らずで終わるRUNに、俺たちは4年をかけている。来夢だってそれは同じだ。

「…ごめん、ちょっと浮かれてたわ」

「いいって」

 俺は小さく笑う。来夢のこういう素直なところが俺は好きだ。

「まあ今はちょっとねー。あ、でもさ」

 無邪気にいたずらっぽく笑う友基。嫌な予感がした。

「Xゲーム終われば雇用関係も終わりだよね」

「……」

 思わず黙ってしまう俺。来夢ははっとしたような顔をした後、ぱあっと顔を綻ばせた。

「Xゲーム終わるのなんてもうすぐじゃん! そしたらもう歩夢は関係ないよね! アタックしていいよね!?」

「えー、でも振られたらダメージ引きずらない? オリンピックあるでしょ」

「それは大丈夫! モヤモヤ何もしない方が引きずるわ!」

 友基のわざととも思える問いかけに、来夢はいきいきと答える。まあ、素直な来夢のことだから、意中の相手がいて何もしないでいる方が競技に影響が出そうだ。

「歩夢はそれでいいの?」

 不敵に聞いてくる友基。何かを見透かしているような、楽しんでいるようなそんな表情。

「…別に。いいんじゃない?」

 俺はできるだけ表情を変えずに、投げやりそうに答えた。

 …そうだ。別にいい。来夢とがどうなろうと。今の俺には恋愛にうつつを抜かす暇なんてない。

 のことだって、魅力的なのは認める。だけど個人的に特別な感情はない。ただ通訳として腕が立ちそうだから雇っただけ。 たったそれだけ、それだけのことだ。…俺は言い聞かせる。


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Author:泰人
昔いろいろ夢書いてました。

久しぶりに書いてます。

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